丸尾 勝一郎 Dental Blog

歯医者が受けたい歯科医療 ②根管治療

2022年09月17日

こんにちは、三軒茶屋・恵比寿マルオ歯科 院長の丸尾勝一郎です。

本日は、歯医者が受けたい歯科治療の第2弾として、根管治療についてお話をしていきたいと思います。

 

根管治療とは、簡単にいうと2種類あり、

「むし歯が大きく歯の神経を抜く治療」

「根の治療をした歯が炎症を起こしている根管の治療」

があります。

 

前者は、専門用語では、歯髄とよばれる歯の神経を抜くことから”抜髄”といいます。

虫歯が進行して、神経まで達すると強い痛みを発します。ここまで虫歯が進行してしまうと、神経をとるしか治療はありません。

針のような器具で根管の中の神経を取りつつ、根管内を綺麗に洗浄しガッタパーチャポイントと呼ばれる酸化亜鉛を主成分とする材料で根管内を充填し(根充といいます)封鎖します。

処置後に痛みなどの症状が消失したのを確認し、問題がなければコアと呼ばれる土台を立てて最終的なクラウンを被せます。

 

後者は、この抜髄をした歯にトラブルが起きた場合の治療となります。

すなわち、神経を取ったにも関わらず、根管内の洗浄や充填が不十分のために細菌が根管内に残留し繁殖することが原因で根管内で感染が起きるのです。

根管内で感染が起きると、歯の上の噛む部分はクラウンなどで封鎖されているため出口がなく、根の先で炎症がおこり、骨が溶けていきます。これを根尖性歯周炎と呼びます。

この根の先の炎症が急性化すると、内圧が高まり眠れないくらいの痛みを伴います。

また、神経が生きている際の治療を”抜髄”と呼ぶのに対し、神経を取った後の治療は”感染根管治療”と言います。

いまから10〜20年前は、今よりもっと根管治療は適当に行われていたため、昔やった抜髄治療が感染根管となって、根の先で炎症を起こす根尖性歯周炎になっている患者さんがたくさんいます。

中には炎症があっても痛みがなく、そのまま経過することもありますが、体調が落ちている時や疲れている時などに炎症が急性化して痛みや腫れを伴うこともあります。

 

感染根管治療は、まず被せ物と土台を外し、前の治療で充填したガッタパーチャを除去することから開始しますので、抜髄よりも少し手間がかかります。

また、根管内が感染しているため、2〜3回にわたって、洗浄や機械的に根管内を削って感染を除去する必要があります。

感染歯質を除去したら、抜髄同様ガッタパーチャで根管充填をおこない、土台をたててクラウンを被せます。

 

このように根管治療には2種類あるのですが、やっていることは実質同じといってもいいでしょう。

ただし、根管治療は“ちゃんと”やらないと何回も再発してしまう、難しい治療です。

再発を防ぐためには、目に見えない細菌といかに戦うかがポイントとなってきます。

根管治療を成功に導くためには、3つのポイントがありますので、それぞれ紹介していきたいと思います。

 

1つ目のポイントは、“ラバーダム”です。

これは、細菌が多く存在する唾液や汚れが根管内に入らないようにしたり、また、根管の消毒で使用する刺激の強い薬剤が口の中に漏れないようにするために、患歯にゴムのシートをかけて1本の歯だけ隔離するためのものです。

このラバーダムですが、保険診療ではやっても、やらなくても良いことになっていますので、残念ながらラバーダムをしない歯医者のほうが圧倒的に多いのが現状です。

しかし、ラバーダムをすることで根管治療の成功率は圧倒的に上がります。

実は、根管治療は保険治療ではあまり点数(治療費)が高くありません。

そのため、なかなか保険診療ではラバーダムをした方がいいとわかっていても、その分の手間や経費がかかるためやらない歯科医師が多いのが現実です。

したがって、まずはラバーダムをちゃんとやってくれる歯科医院がどうかを見極めることが重要です。

 

2つ目のポイントは“CT”です。

歯の根管は非常に複雑な形態をしています。また、根管の数も歯の種類や個人差があります。特に奥歯は非常に複雑で、根管を見落としてしまうこともあります。

そのため、CTを撮影することによって、根管の形態・位置・数などを3次元的に把握した上で治療することでより根管治療の成功率は飛躍的に上がります。

最近では開業時にマイクロスコープを購入する歯科医院が圧倒的に増えていますので、一般的になっていますが、事前に確認しておくと良いでしょう。

 

3つ目のポイントは“マイクロスコープ”です。

マイクロスコープとは、いわゆる顕微鏡のことで、根管治療の際には最高で20倍の倍率で歯の中を観察することが可能となります。

マイクロスコープがない場合の治療は、いわゆる手探り状態で、手の感触を頼りに根管内の洗浄をしていましたが、マイクロスコープを使うことにより根管内を見ながら感染除去を行うことでより成功率が高くなります。

マイクロスコープのもう1つの利点としては、根管の見落としが少なくなると言う点です。特に上顎の第1大臼歯はMB2と呼ばれる、非常に発見しづらい細い根管が存在します。その根幹を見落としてしまうことで、何度治療しても改善しないこともありますので、マイクロススコープで確認することで見落としがちな根管も確実に捕らえることが可能となります。

また、マイクロスコープを使いこなすためには、歯科医師側の知識やトレーニングが必要となりますので、根の治療を専門に行っているクリニックで受けることが望ましいでしょう。

 

以上、今回は歯医者が受けたい治療として、根管治療についてお話ししました。

上記の3つのポイントを満たしている歯科医院であれば、安心して受けることができるでしょう。

場合によっては、上記のポイントを満たしている歯科医院では、根管治療を保険適用外の自由診療で行っていることが多いかもしれませんが、再発の頻度や歯の長持ちという観点からみると、決して高い治療ではないのかもしれません。

1つ目のクリニックでは納得できない場合は、セカンド・サードオピニオンを受診することをお勧めします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

<根管治療でおすすめの歯科医院>

坂上デンタルオフィス(東京都世田谷区)

ヘンミデンタルオフィス(東京都渋谷区)

三軒茶屋マルオ歯科(東京都世田谷区)