歯医者が受けたい歯科医療①インプラント
2022年02月23日
本日から新シリーズとして、「歯医者が受けたい歯科医療」について、様々な治療を取り上げて述べていきたいと思います。
記念すべき第1回は、私の専門領域でもある『インプラント治療』です。
そもそも、インプラント治療とはどんな治療なのでしょうか?
若い患者さんの中には、意外にセミラック治療などと混同していることも少なくありません。
インプラント治療とは、簡単にいうと「歯を喪失した部分の骨にチタン製ネジを埋め込んでの人工の歯を装着する治療」です。
したがって、自分の歯にかぶせたり詰めたりするセラミック治療とは異なり、自分の歯を抜いた後の治療、ということになります。
(ちなみに、インプラントの人工の歯はセラミックで作られています。ややこしいですね。)
この「歯を喪失した部分を補って噛めるようにする治療」を専門用語では補綴(ほてつ)治療と言います。
この補綴(ほてつ)治療には入れ歯やブリッジなども含まれ、その中の選択肢の1つとしてインプラントがあると思っていただけると理解しやすいかと思います。
では、歯を抜いた後に治療法として、歯医者だったらどの治療を選ぶでしょうか?
答えは、圧倒的多数が “インプラント” を選択します。
私が全国で講演する際に必ず、「もし、自分の前歯が1本事故で抜けてしまったら、なんの治療を選択しますか?」という質問を受講者の先生に投げかけ挙手してもらうのですが、約95%くらいの先生がインプラントを選択します。
何を隠そうこの私も、左上5(第2小臼歯)にインプラントが1本入っています。昔神経を取って治療した歯の根が割れてしまい抜歯になってしまったのです。
では、なぜ、歯医者はインプラントにするのでしょうか?
答えは、「入れ歯は取り外しが面倒だし、見た目も良くない。ブリッジは自分の健康な歯を削りたくないから。」です。
もちろん、インプラント治療は外科手術が必要ですし、自費診療で高額になります。さらには治療期間が長いといったデメリットがあります。
しかし、それらのデメリットを天秤にかけても、取り外しが必要な入れ歯や自分の健康な歯を削るブリッジにはしたくない、というのが歯医者の本音です。
もちろん、歯医者なので、知り合いの先生に治療をしてもらえば、通常の治療費よりも安く受けられるというメリットもあるかもしれません。
しかし、私たち歯医者は
- 健康な歯を削ること
- 歯がない部分にかかる力を他の歯が負担すること
が、さらなる欠損(歯を喪失すること)につながることを、いままでの経験やエビデンスから知っています。
一度、入れ歯やブリッジにすると、よほどメンテナンスをしっかりとしない限り、また違う歯にしわ寄せがきて抜歯することになりかねないのです。
私もインプラントにしてからまだ約2年ほどですが、全く問題なく自分の歯と同じように機能していますし、インプラントであることを忘れるくらいです。もちろん、他の歯を抜くようなことにはなっていません。とても快適に使っています。
いかがでしょうか?
確かにインプラント治療は自費診療のため高額ではありますが、歯医者も選ぶ良い治療であることは間違いありません。
ただし、リスクのある治療でもあります。十分な説明を受け、納得した上で治療を受けることを強く推奨いたします。
歯は毎日使う大事な体の一部です。美味しいものを食べる喜びを取り戻すためにも、インプラント治療をぜひ検討してみてください。